ゼネコンC社 設計企画部
耐火建築物の外装仕上げを金属パネルとして、
シャープで高級感のある意匠性にしたい…
孔あけ、切り欠き不要!非貫通で金属パネルの取り付けを可能にした工法とは
背景
商業エリアに新たに建設されるビルの意匠設計を手掛けていたC社の設計部は、低層部のファサードに悩んでいた。オーナーの希望は他のビルとは違ったシンボリックで個性的な意匠性と、テナントのサイン類をうまく融合したデザインにしてほしいというものだった。
課題
ALCパネル外壁に金属パネルを取り付けたいが、ALCパネルのひび割れや漏水のリスクが避けられない…
設計企画部は近隣のビルや話題のビルなどを参考に、オーナーの希望を実現するデザイン案の検討を開始します。
この案件のリーダーである設計士のT氏はこのときの状況を次のように語ります。
「検討を重ねた結果、金属パネルを仕上げ材として使用して、シャープで高級感のある意匠性にすることにしました。金属パネルの取り付けに必要な耐火下地材にはALC(軽量気泡コンクリート)を採用します。貫通ボルトを用いて取り付けるか、あるいは躯体からALCパネルの目地間を通して鋼材を持ち出して取り付ける方法を考えていました」
ところが、この案をオーナーに提案したところ、問題点を指摘されてしまいました。
デザインや方向性は良いが、金属パネルの取り付けのためにALCパネルに孔あけや切り欠きをするのは、耐久性や漏水の観点から問題はないのかという内容でした。
T氏たちはこの問題の対策を急ぐことにしました。その結果、ALCパネルへ貫通ボルトを取り付けることをメーカーは推奨していないことや、地震に強いロッキング性能を阻害する可能性があるため、安全性を担保できないことがわかりました。また、ALCパネルを切り欠いて目地間から鋼材を持ち出して下地を作ることについても、経年でのパネルのひび割れ・漏水のリスクが高まることも判明しました。
「貫通ボルトやALCパネルの目地間を利用せずに、金属パネルの取り付けが可能な下地材をあたることにしましたが、設計部内では知見がありませんでした」(T氏)
施工例を調べても、決め手となる情報はすぐには見つかりません。設計の締め切りは刻々と迫ってきていました。
課題のポイント
ALCパネル外壁に金属パネルを取り付けてシャープで高級感のある意匠性にしたい
金属パネルの取り付けに貫通ボルトを使ったり、ALCパネルを切り欠いて目地間から鋼材を持ち出したりすると、ALCパネルのひび割れや漏水のリスクも高まる
貫通ボルトやALCパネルの目地間を利用せずに、金属パネルの取り付けが可能な耐火下地材が見つからない