設計事務所N社 設計部
オフィスビルの低層階。外壁のひび割れや欠けが気になる…
高級感あるビルの意匠と、メンテナンス性を両立した建材とは
背景
創立50年以上の歴史をもつ、老舗企業の新オフィスビル設計を請け負うことになったN社。「高級感を重視したい」という要望通り、低層階の外壁には大理石を使用することが決まっていた。ところが突然、クライアントから設計の見直しを求める連絡が入った。
課題
当初は大理石を使用する予定だった外壁。しかし、メンテナンス性が不安に…
オフィスビルの設計内容がほぼ決まり、安心しきっていたN社の設計部メンバーは、見直しの対応に追われていました。
設計を担当していたS氏は、そのときの様子を次のように振り返ります。
「急な変更のきっかけは、お施主様自身の住んでいるマンション1Fのエントランス付近の壁に、ひび割れや欠けがあると気づいたことだったそうです。それを見て、だんだんと設計内容に対する不安をおぼえたそうです」
その外壁のひび割れや欠けは、住人や出入りする業者などの自転車等が壁に接触したときに発生したものだと考えられました。それを目にした施主から、自社ビルの設計内容について、メンテナンス性の観点から見直したいと申し出があったのです。
確かに、使用予定であった大理石の石張り外壁はオーダー品であり、メンテナンス後の外観再現性に優れているとはいえませんでした。
「ただ、高級感のあるデザインにしてほしいというもともとの要望も強かったため、建材の見直しはそう簡単にいきませんでした。メンテナンス性を重視すると、意匠面での選択肢が狭まってしまう課題が立ちはだかったのです」(S氏)
困った設計部のメンバーは改めて、これまでに利用してきた外壁のサンプルを掘り起こし、施主に提示していきました。しかし、先方のイメージや要望と合致する建材は見つからず、なかなか見直し内容に納得してもらうことができませんでした。
課題のポイント
石張りの外壁は耐久性はあるが、ひび割れや欠けが生じると補修難易度が高い
オーダー品で対応するため、メンテナンス後の外観の再現ができない可能性がある
耐久性やひび割れや欠け時のメンテナンス性を重視すると、意匠面での選択肢が狭まってしまう