ゼネコンT社 設計部
ALCの上に金属パネルを取り付けたいが、設計を変更すると工期が間に合わない…
意匠性を高め、ホテルの開業を予定通りに間に合わせた専用工法とは?
背景
ビジネスホテルの建設を請け負うことになったゼネコンT社。建設の開始後に、施主であるホテルオーナーから「ホテルのファサードに金属パネルを使って意匠性を高めたい」との要望があった。設計部は至急外壁の設計変更に取り掛かったが、現場所長から「その設計変更を実施すると工期が間に合わない」と指摘され、困惑していた。
課題
「工期が間に合わない」と現場所長から指摘を受けてしまい、何とかしないと…
指摘を受けて、T社の設計部はあらためて現場所長から話を聞くことにしました。担当設計士のM氏は、そのときの様子について次のように振り返ります。
「現場所長と話してみると、ホテルのオープン予定日が予め決まっていたこともあり、工程がかなり詰まっている状況であることがわかりました。このまま工期を延ばさずに、オーナーからの追加要望をクリアすることは難しいと言われてしまいました」
外壁に使うALCの上に金属パネルを取り付ける工法はいくつかありましたが、いずれも今から変更するとなると、大幅に工数がかかってしまいます。そこで現場所長と設計士のM氏は、もう一度協議を行うことにしました。
まず、躯体から取った鋼材をALCの版間目地から出す方法を検証しました。しかし鋼材を躯体に取り付ける手間が増え、かつ、ALCの施工スピードも遅くなってしまうため、予定より時間とコストが掛かってしまうことになります。
次に、よくあるALCパネルに直接貫通ボルトで金属パネルを留める方法も検証することにしました。しかしこの方法では、ALCに孔を開ける工数の増加に加えて、貫通孔から室内側に雨水が入る可能性があります。
協議は難航して具体的な工法はなかなか決まらず、その間にも建物本体の工事は進んでいきます。現場やM氏たち設計部には、だんだんと焦りが広がっていきました。
課題のポイント
外壁に金属パネルを取り付けるにあたって以下の2つの理由があるため、他の方法を検討する必要があった
躯体から取った鋼材をALCの版間目地から出す方法は、取付けに工数とコストがかかる
ALCパネルに直接貫通ボルトで金属パネルを留める方法は、漏水が起こる可能性がある