設計事務所A社 設計部
2階建て木造事務所の遮音対策が想定以上に難しく、さらにOAフロア化が…
2つのリクエストに応え、施主から高評価を得られた床材のパフォーマンスとは?
背景
脱炭素社会の実現に向けて木材の活用が推奨されている昨今、特に2021年に「都市(まち)の木造化推進法」が施行されて以降、木造事務所を選択する事例が増えてきた。しかし木造建築物においては床遮音対策が難しく、A社設計部はその対応に悩んでいた。
課題
木造事務所の2階部分に使用するOAフロアとして最適な遮音対策手法が分からず…
A社に事務所改築を依頼したオーナー会社は、長年の目標として環境負荷の軽減を掲げていました。そのため事務所改築にあたっては、環境に配慮し、資材製造時から現場施工までのステップで排出されるCO2削減が他構造に比べ期待できることから、今回も木造2階建ての事務所にしたいと考えていたのです。
A社は施主の希望通り、木造事務所建築に向けて設計に取り掛かりましたが、そこでさらに2つの要望が寄せられます。1つは、遮音対策をしっかりして欲しいということ。そしてもう1つは、業務で使用する機器が多いため、配線は床下に収納したいということでした。
担当した設計部のS氏は、次のように振り返ります。
「これまでの事務所も木造だったのですが、1階で過ごしていると、どうしても上階の足音などの衝撃音が気になり、社員から不満の声が上がっていたとお客様から聞きました。だから、今回の事務所では遮音対策をしっかりしたいと念を押されました」
とはいえ、木造建築の遮音対策はそもそも難易度が高いため、S氏は対策手法を模索しはじめます。しかし、確かな方法にはなかなかたどり着けませんでした。
一方、配線対策としてはOAフロアを想定していましたが、木造2階建て以上の建物における施工実績が少ないことから、最適な施工方法もすぐには見当がつきません。
十分な遮音対策とOAフロア化という同時に解決しなければならない2つの課題に、S氏は頭を抱えるしかありませんでした。
課題のポイント
現状の木造事務所の上階の遮音対策が十分ではなく、下階から不満の声が上がっていた
OA機器向けに床下配線にしたいが、木造2階建て以上の上階での施工実績が少なく、最適な施工方法がわからない