建物の出隅に現れる薄い壁の印象を解消するためMコーナー(留め加工)を採用

一級建築士事務所 スタジオ ドディチ

お話を伺った方

一級建築士事務所 スタジオ ドディチ

トリーニ ヤコポ 様、亀川 尚史 様

採用製品

へーベル アートミュール ベルノ、へーベル Mコーナー

旭化成建材では、ファサードに使用する高意匠、高品質、高耐久のさまざまなパネルを開発・販売しています。今回は当社製品を複数採用いただいた、神戸マリナーズセンター事務所の事例をご紹介します。設計を担当された、一級建築士事務所 スタジオ ドディチのトリーニ様、亀川様にお話を伺いました。

コストを抑えつつも特長ある外観にアートミュールとMコーナーを採用

はじめに、本プロジェクトの経緯を教えてください。

トリーニ様:施設を運営する「ザ・ミッション・トゥ・シーフェアラーズ」は非常に歴史的な業界です。世界の主要な港に船員の為の福利厚生施設があります。神戸は1895年(明治28年)に設立し、1920年代から伊藤町にありました。現在のフラワーロード沿いの一等地にビルを構えていましたが、市場の変化とともに需要も変わり、1987年に元町へ移転しました。運営はボランティアや寄付によって成り立っているため、建物にお金をかけるというのは難しいのですが、本プロジェクトでは見栄えと清潔感を重視しました。例えば色分けで装飾的な特徴を出すなど、コストを抑えつつも品質とデザイン性を保つ工夫をしました。

外壁にALCパネルを採用された経緯を教えてください。

亀川様:もともとの建物はRC造で敷地が広くありました。その土地の一部を手放して得た収益で建て替えたこともあり、ボリュームが小さくなりました。建物の規模やコスト、立地条件などから比較的早い段階でS造をベースに外壁材を選択していました。そのなかでアートミュールや出隅部に留め加工の納まりが出来て面白そうでよさそうだなという流れで採用に至りました。

仕上げのテクスチャーとコストバランスからアートミュールベルノを採用

アートミュールベルノの採用を決めた理由を教えて下さい。

亀川様:仕上げのテクスチャーが今までのALCよりも良かったからです。他の選択肢もありましたが、コストとのバランスをみて採用しました。

設計段階と施工後でイメージのギャップはありましたか?

亀川様:イメージ通りでした。建設地から近いポートアイランドのあたりにもアートミュールが多く使われていると聞き、見に行きましたが、ほぼイメージ通りでした。

留め加工(Mコーナー)によって薄い壁の印象を払拭

Mコーナーを知ったきっかけを教えてください。

亀川様:ALCに関しては昔から知っていましたし、旭化成建材の担当者からの紹介もいただきました。建材に関する情報は各メーカーのホームページで得ることもあります。今回、出隅部の納まりを検討する中でMコーナー製品を知り、コスト面も含めて使いたいと思いました。

Mコーナーの採用を決めた理由を教えて下さい。

亀川様:ALCのコーナー部分に関して、昔から小口が見えるのが嫌いでした。ALCは角部がどうしても壁が薄く見えてしまう。強固な建物として厚い壁のイメージを表現したいが、それがALCではなかなか表現できません。今回、Mコーナーを使うことで角面取りしたような形になり、これまでの薄い壁の印象を払拭することができました。

トリーニ様:敷地は角地にあり、隣のマンションもセットバックされているので、建物の三面が見えてきます。そのため、このMコーナーはすごくよかったですね。

今後、試してみたいアイデアはありますか?

亀川様:ALCでカラーリングを楽しめたらいいですね。例えば、600角だけど300角みたいになっていて、有名ブランドデザインのような市松模様の色分けなどができるといいですね。

最後に、今後旭化成建材に期待することを教えて下さい。

亀川様:アートミュールは鏡面のような平滑仕上げを開発してもらえるといいですね。あと、現場のタッチアップが大変そうな印象がありましたが、設計上は満足しています。

トリーニ様:デザインの掘り込みが大きいので、平滑なアートミュールに合わせて繊細で淡いデザインを表現できるといいですね。そうすると印象がだいぶ変わると思います。技術的に可能かどうかわかりませんが今のALCとは全然違う素材感が生まれるかもしれませんね。

本日は、大変貴重なご意見をお聞かせいただき、ありがとうございました。

2025年1月インタビュー

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